紹介
—Göppinger, H. u. Witter, H. 編著—Handbuch der forensischen Psychiatrie
中田 修
1
Osamu Nakata
1
1東京医科歯科大学犯罪精神医学研究室
1Dept. of Criminal Psychiatry, Tokyo Medical and Dental Univ.
pp.433-438
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202173
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本書すなわち「司法精神医学全書」は2巻,4部から成る,合計1,693頁という厖大な本である。このような大著を短時間に通読することは容易ではない。それゆえ,本書の構成,本書が司法精神医学の歴史のなかで持つ意義,本書から得られる司法精神医学的見解の時代的変遷などについて述べるにとどめたい。本書の印象を一言で言えば,大きな本ではあるが,内容は多彩で,比較的平易に書かれてあるので,取りつきやすい本である。
本書の編集者はH. GöppingerとH. Witterの両教授である。Goppinger教授はチュービンゲン大学犯罪学研究所長であり,個々の犯罪者について多元的・総合的研究を徹底的に推進しており,「犯罪学」(C. H. Beck, München,1971)の著者でもある。筆者の知るところでも,2度来日されたことがあり,筆者も一昨年その講演を聴いた。隻脚が痛々しいが,冷徹な理論家といった印象であった。Witter教授はザールラント大学司法心理学・精神医学研究所長であり,情動犯罪や拡大自殺の責任能力論,あるいは不可知論者として知られ「司法心理学・精神医学綱要」(Springer, Berlin,1970)の著者でもある。なお,GöppingerもWitterもいわゆる正統的な精神医学の道を歩む学者であり,精神分析や現存在分析とは縁が遠いようである。
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