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Zur Behandlung der Narkolepsie mit L-DOPA—Klinische Verlaufsbeobachtungen und polygraphische EEG-Nachtschlaf-und Tagesableitungen,他
上島 国利
1
1慶大精神神経科学
pp.378,408,411
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202165
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ナルコレプシーは,睡眠発作,情動脱力発作,入眠時幻覚,睡眠麻痺を四大症状とする疾患であるが,その薬物療法は満足とはいえない。睡眠発作はアンフェタミン投与で減少するが嗜癖や習慣性の危険があり長期持続投与は困難である。脱力発作に対するイミプラミン療法も発作の一部にしか有効でなく,その作用機序も逆説睡眠を抑制する作用が関係しているらしいが,詳細は不明である。ナルコレプシーの睡眠発作は逆説睡眠と徐波睡眠の調整の障害に還元され,逆説睡眠はMAOI(モノアミンオキシダーゼ阻害剤)でも抑制されるが,イミプラミンを含めて睡眠発作に与える影響は少ない。
一方脳幹のカテコールアミン神経系は,覚醒状態と同様逆説睡眠の保持に重要であり,ドーパミンーノルアドレナリン合成の前駆物質であるL-DOPAは注射により覚醒反応を起こすことが知られ,パーキンソン病患者に投与し夜間睡眠状態を検査したところ,逆説睡眠出現を約1時間抑制し,深睡眠を抑え睡眠段階の連続を正常化することが認められた。これらの事実をふまえて,著者らはナルコレプシーの治療にL-DOPAを使用している。
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