古典紹介
Phillipe Pinel:Traité Médico-Philosophique sur l'Aliénation Mentale, ou la Manie:Section VI. Principes du Traitement Médical des Aliénés
藤井 薫
1
,
長岡 興樹
1
Isao Fujii
1
,
Kohki Nagaoka
1
1長崎大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Nagasaki Univ. School of Med.
pp.95-107
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202136
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I.医学書のすべてが,哲学者達のきびしい批判に耐えうるか
モンテスキューは主張している。「医学書,肉体のもろさと技術の力についてのこの記念碑,それは最も軽い病気を論ずるときですら戦慄を起こさせ,それほど我々に死を現前させているものであり,一方しかし,それが,あたかも人間が不死であるかの如く,薬の効力について語る時は,全き安心感を我々に与える」と。
この鋭く人を刺すようなことばは,我々の図書館を飾りあるいはその重荷とさえなっている医学に関する膨大な著作に適用するにまことにふさわしいものであるが,manieに関する著作の中で次のような空虚なことばが繰り返されるのを聞く時に,その名言は想起されえないであろうか。すなわち,脳の不調和,体液排除の前のその調整,悪性物質の座,その物質の所謂誘導,あるいは排除など。
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