Japanese
English
研究と報告
Medazepam(S-804)の終夜睡眠脳波に及ぼす影響
The Effect of Medazepam (S-804) on the All Night Sleep
稲永 和豊
1
,
磯崎 宏
2
Kazutoyo Inanaga
1
,
Hiroshi Isozaki
2
1久留米大学医学部精神神経科学教室
2久留米大学医学部中央臨床検査部
1Dept. of Neuropsychiatry, Kurume Univ, School of Med.
2Central Clinical Laboratory, Kurume Univ. School of Med.
pp.89-94
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202135
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
Benzodiazepine系誘導体の1つであるmedazepamは,Sternbachら13)により合成されRandallら11) Rocheのグループによって開発されたもので7-chloro-2,3-dihydro-1-methyl-5-phenyl-1H-1,4-benzodiazepineなる化学式を持っている。本剤は他のbenzodiazepine系誘導体と同じく,主として中枢神経に作用するが,なかんずく興奮あるいは一般的な情動反応を主に司っている大脳辺縁系に影響を及ぼすといわれている6)。また動物実験においては末梢自律神経系に対して交感神経系には影響なく,副交感神経系の弱い遮断作用を有することが確かめられている8,11)。臨床的には不安緊張除去,静穏に対してとりわけすぐれた特性を有し,その他感情調整,自律神経安定化作用も有していることが認められている。
しかし,われわれが前回行ったmedazepamの光眼輪筋反射に及ぼす影響を検討した結果では,medazepamは従来のbenzodiazepine系の薬物とは催眠作用があまりない点で差異があるように思われる3)。今回われわれは,このようなmedazepamの特性をさらに詳しく調べるために,medazepamを正常者に投与して,終夜睡眠脳波を検討したので報告する。
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.