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Psychopathologische Besonderheiten bei Kranken mit Encephalomyelitis disseminata (“Multiple Sklerose”),他
浅井 昌弘
1
1慶大精神神経医学
pp.18,29,39,75
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202126
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多発硬化症(M. S.)の精神症状についてCharcotはヒステリー反応との関係を論じたが,その後よく言及されるのは上気嫌(多幸性)や抑うつ傾向,気分易変性などの感情障害とpolysklerotische Demenz(Seiffer 1905),euphorische Demenz(Marburg 1936)であり,Bender(1950)は202例中の63.8%になんらかの精神変調をみたという。
著者は1956〜1971年の16年間にBonnのFriedrich-Wilhelm大学に入院し,M. S. と診断された773例(男310,女463)の病歴から精神症状について検討した。患者の平均年齢は38.5歳(14〜76歳)で,全症例につき精神症状を6つの範疇に分けてみると,①精神的に著変なし363例(47.0%),②上気嫌,多幸性134例(17.3%),③抑うつ,不快気分87例(11.3%),④気分易変,刺激性99例(12.8%),⑤精神病的なもの(psychotisch)5例(0.6%),⑥痴呆,人格変化85例(11.0%)となり,約半数の例では精神的に著変なく,症状があるものではEuphorie-Syndromが多かった。
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