Japanese
English
特集 痴呆の臨床と鑑別
テストからみた痴呆
Dementia from the viewpoint of Psychological Tests
小野 和雄
1,2
Kazuo Ono
1,2
1日本大学医学部精神神経医学教室
2慈雲堂病院
1Dept. of Psychiatry & Neurology, School of Med., Nihon Univ.
2Jiundo Mental Hospital
pp.375-387
発行日 1973年4月15日
Published Date 1973/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202007
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I.緒言
最近,老人問題が社会福祉の一環としてとみにクローズアップされるにつれ,老年医学の面においてもようやく,痴呆が問題視されるようになった。われわれが精神医学の臨床面で痴呆という言葉を用いるさいにも,厳密なデータによることなく臨床経験にもとづいて判断を下していることが多かった。著者が本誌(1964年)に痴呆に関する所見を発表したさいにも,年少者の精神薄弱や巣症状を示した器質精神障害に比し,痴呆そのものに関する研究や文献は非常に少なかった。
年少者の場合には,たとえ精神薄弱であっても早期幼児自閉症や,難聴による知恵おくれとの鑑別,さらに心因性か器質性かの診断上の問題,その後の治療および教育上の問題,これからの長い生涯における経済的問題もさることながら,社会問題そのものとして政府みずから最少限度(?)の対策を講ぜざるをえなかったことなども関連して,その方面の研究も痴呆に比して多かったのであろう。
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