Japanese
English
研究と報告
非行少年における有機溶剤酩酊の精神医学的研究
A Psychiatrical Study of Abusive Inhalation of Organic Solvents (Glue Sniffing) in Japanese Juvenile Delinquents
小田 晋
1
Susumu Oda
1
1東京医科歯科大学犯罪心理学教室
1Dept. of Criminal Psychology & Forensic Psychiatry, Institute of Forensic Sciences, Tokyo Med. & Dent. Univ.
pp.893-900
発行日 1969年11月15日
Published Date 1969/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201536
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シンナーのような有機溶剤,ボンドのような接着剤を吸引して酩酊する遊びの経験を有し,東京少年鑑別所に収容された者のうち35例(うち女子3例)について精神医学的に面接調査した。
対象は,共同型(つねにグループで吸引する)18例と,単独型(単独で吸引した経験のあるもの)17例に分かちうる。
酩酊時の気分変化は,発揚,多幸から不関への移行が一般的であるが,共同型では発揚,興奮が,単独型では不関性,時に不安が優越する。酩酊時にいわゆる"夢"といわれる夢幻様状態におちいるものは共同型27.8%,単独型76.5%で,全体として51.4%に達し,幻聴,幻視,白昼夢,錯覚,パレイドリア,自己像視,浮揚感,セネストパチー,変形視,巨大視,有情化体験,離人体験,déja vu実体性意識性など幻覚およびその周辺の現象として記載されているもののほとんどすべてが出現する。共同型の44.4%,単独型の88.2%が吸引しはじめてからなんらかの性格,行動の変化をきたすようになつたことを自認し,前者では抑制欠如—→衝動的非行,後者では無気力・不関—→怠学・労働嫌忌の過程をたどる傾向があり,両者ともいわゆる「フーテン族」生活と親和性が強い。
ロールシャッハ・テストでは,単独型は共同型に比しR↑,M↑,(H)(A)↑,A%↓,P%↓で上述の所見と対応した結果が得られた。
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