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特集 精神障害者の動態
群馬県佐波東村における精神障害者の動態
Dynamic Statistics of Psychiatric Patients in Azuma-mura
中沢 正夫
1
Masao Nakazawa
1
1群馬大学医学部精神神経科学教室
1Dept. of Neuro-psychiatry Gumma Univ. Med. School
pp.1103-1111
発行日 1972年12月15日
Published Date 1972/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201964
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I.はじめに
群馬県佐波郡東村は人口1万に足らぬ小農村である。ここでの精神障害者の「動態」を云々するとしたら,次の2点で意味があると考えられる。第1は小地区であるうえ地域精神衛生活動が持続的に行なわれているので,ほぼ悉皆調査が可能であることである。この種の調査・研究において,関係機関手持ちの資料の蒐集・分析という形式やサンプリング調査はけっして少なくないが,小地区であっても悉皆調査は少ない。ことにある時点をとらえた横断調査の積み重ねでなく数年〜十年の動きをとらえた調査となるとさらに少ない。この点で佐波東村の資料は特異な位置づけをもっているといえよう。それは患者の1人1人について少なくとも6年間の動きをつかめるからである。
第2は,次項で述べるような比較的密度の濃い地域精神衛生活動が,この村の精神障害者の動態にどんな影響を与えたかをある程度,検討できるからである。とくに昭和43年1月以来実施されてきた,精神障害者に対する国保10割給付がどんな影響を与えているかが注目されよう。ここである程度とことわる意味は,この10割給付も含む,この村の地域精神衛生活動の評価をするには,まだ,少し時期が早すぎると考えられるからである。以後掲げる資料の理解のために,まずこの村の説明とそこでの地域活動の概略をはじめに述べておきたい。
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