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特集 社会変動と精神医学
近代化・現代化はなにをもたらすか—精神医学的研究への手引き
Influence of "Modernization" and "Contemporalization" : An Introductory Review for Psychiatrists
祖父江 孝男
1
Takao Sofue
1
1明治大学政経学部,文化人類学
1Laboratory of Sociology and Anthropology, Dept. of Political Science & Economics, Meiji Univ.
pp.1133-1138
発行日 1971年12月15日
Published Date 1971/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201828
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I.はじめに:近代化と現代化
日本の社会は,とくに最近,さまざまな面において著しい変化をとげつつある。本稿においては,とくに精神衛生上の問題をふくんでいると思われる諸変化の現状を文化人類学の立場から総括して概観することにしたい。精神医学の方々が今後これらの問題について研究を進めていかれる上のお役に立てば幸いである。
まず最初に《近代化》という概念,そしてこれと並んだ,というよりはむしろこれとはっきり区別して最近使われている《現代化》なる概念について明確にしておきたい。現代化の方は欧米において作られた“modernization”なることばの訳であるが,現代化の方はむしろ日本,ことに京都の学者の間で使われ始めたもので,“contemporalization”なる英語の方も欧米では使用されていない。しかし1970年代における日本社会に起こっている諸変化を理解する上にはなはだ適切で欠くことのできないのがこの現代化なる概念だと思われるのである。
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