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特集 内因性精神病の生物学的研究
内因性精神病理解のための発達的観点
The Developmental Viewpoint for Understanding of Endogenous Psychosis
岡田 幸夫
1
Sachio Okada
1
1神戸大学医学部精神神経科学教室
1Dept. of Psychiatry & Neurology, Kobe Univ. School of Med.
pp.1001-1008
発行日 1971年10月15日
Published Date 1971/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201812
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I.はしがき
内因性という既念に基づいて,その精神分裂病学を系統的にうち立てたのはKraepelinの精神病理学である。したがって,Kraepelinの時代には,内因性という概念は,名実ともにその位置を確立し,さらには,将来,身体病理が発達して内因性なるものの法則が明らかになるであろうという精神病学の進んで行く方向をも予想していたといえるのであろう。
けれども,その後の精神病学の歩みは,むしろ身体病理と精神病理とが,判然と離別してしまう方向をたどったものである。いいかえれば,身体病理と精神症状との結びつきは一元的に考えられないことが強調され,精神病理は,身体病理との関連をはなれて,精神病理独自の道をたどったといえよう。もちろん,JaspersからK.Schneiderにつながる現象学は,内因性という概念を保持しているが,単に正常心理から了解できないという点を想定したにとどまって,内因性を示す精神症状の構造は必ずしも明らかにしていない。たとえば,K.Schneiderは,精神分裂病の第1級症状を列挙しているが,単に現象的に症状を列挙したにとどまって,その正常心理との構造的な差違が考察されていないために,身体病理とのつながりは,それ以上の深まりをみせてはいないのである。
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