Japanese
English
研究と報告
高齢の精神病患者にみられる常同的運動について
Betrachtungen über stereotypische Bewegungen bei Geisteskranken im höheren Lebensalter
杉本 直人
1
,
星 融
1
,
森崎 郁夫
1
Naoto Sugimoto
1
,
Toru Hoshi
1
,
Ikuo Morizaki
1
1岐阜大学医学部神経精神科
1Psychiatrische und Nervenklinik der Gifu Universität
pp.241-246
発行日 1971年3月15日
Published Date 1971/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201720
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1)60歳以上の高齢の精神病患者計188名において常に同じ言動がくり返されるということを指標として,常同的な現象を考察した。
2)われわれの対象者においては同じ言葉が反復されるという現象(Verbigeration)を呈した患者はみとめられず,同じ行動が反復されるという行動面での常同的現象しかみとめられなかった。
3)この常同的現象を呈した例は計20名であり,そのなかで,咀嚼運動様の口をもぐもぐさせる現象を呈する例が17名にみとめられた。
4)この咀嚼運動様の常同現象は,反復症(Iteration)の特性を持つと考えられた。
5)この反復症は高等な統制機能の失われた精神的に痴呆ないし荒廃化した状態で出現しており,痴成と関係していることを論じ精神病理的に空間性の問題などとしては最早論じえず,また脳病理学的には脳の局在性の問題と関連して論じえられぬであろうと結論した。
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