Japanese
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研究と報告
精神病質犯罪者の気脳写所見について
The Pneumoencephalograms of Psychopathic Criminals
福島 章
1
Syo Fukushima
1
1東京医科歯科大学総合法医学研究施設犯罪心理学部門
1Dept. of Criminal Psychology and Forensic Psychiatry, Institute of Forensic Sciences, Tokyo Med. and Dental Univ.
pp.851-857
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201666
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東大精神医学教室関係者によって精神鑑定を受け,精神病質と診断された20名の気脳写所見とその精神病質類型との関連について検討した。その結果はつぎのとおりである。
1)第Ⅲ脳室横径8mm以上,側脳室係数4.0未満を異常と判定したが,われわれの資料の異常所見率は65%で,かなりの高率であった。
2)側脳室の左右差の有無によって資料をS群8例(対称群),A群12例(非対称群)に2分して観察したところ,S群においては側脳室の拡大の程度と第Ⅲ脳室の拡大の程度の間に比較的密接な関係があり,(相関係数=-51),両者の関係を一次方程式で表現することができる。これに対して,A群では両者の間に上のような相関関係がみられないことが明らかにされた。
3)精神病質類型と気脳写所見との関係:気脳写所見を正常と異常に2分して観察しても,両者の間に有意の差はみられない。しかしS群とA群に区分して観察すると,Schneider類型の情性欠如性・気分易変性がA群に有意に高率にみられ,Beckerの類型による中核精神病質もA群に有意に多い。
4)以上の所見から,精神病質―特にその中核的一群の成因に脳障害の関与している可能性が高いことが推測される。われわれが新しく考案した気脳写所見の分類,整理方法によって,今後なお多数例の検討がなされることを期待したい。
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