Japanese
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紹介
Paranoia概念の変遷(前篇)
Über den Wandel des Begriffes Paranoia (Erster Teil)
伊東 昇太
1
Shota Ito
1
1昭和大学医学部神経科教室
1Universitäts-Nervenklinik Showa
pp.255-263
発行日 1970年3月15日
Published Date 1970/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201595
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Ⅰ.序論
Paranoiaをめぐる諸問題は,すでに出つくした感がある。Griesingerの「精神の脆弱状態」(psychische Schwächezustände)による説明は,ドイツ精神医学の教義となっていた。Snellの臨床観察は,Hildesheimの病院の8名から成っていて,端的にして十分な記載は印象深いものである。さらにWestphalの緊張病をも含め,また強迫表象にもとづくParanoiaの頓座型の提唱は,本病圏の拡大といわねばなるまい。そしてKraepelinの定義や症例Wagner(Gaupp)の生活史は,なお汲みつくせない問をなげかけている。一方諸々の論文を比較し展望すると,研究者の間に相違があり,この概念の変遷は決して単純なものではなかったといわねばならない。たとえばParanoia,Verrücktheit,Wahnsinnの言葉の使用は一様でなかった。さらにParanoiaにおける感情と思考の障害で,どちらが原発的で,優位であるかをめぐっての問は,決してSpechtに始まったわけでなかったことがわかる。それ故にここでは主に1900年以前の研究について触れてみることとする。
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