Japanese
English
シンポジウム 境界例の診断と治療
境界例の概念とその変遷
The Concepts of “the Borderline” and their Vicissitude
小此木 啓吾
1,2
Keigo Okonogi
1,2
1慶応義塾大学環境情報学部
2医学部精神神経科
1Faculty of Environmental Information
2Department of Psychiatry School of Medicine, Keio University
pp.293-300
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903218
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■はじめに―“borderline”の多義性
精神医学におけるborderlineの概念はまことに多義的であり,時代的にも幾多の変遷がある。まずそれぞれの流れを概観すると次のようである。
第1に,1980年代から現在,最も広く流布しているのは,DSM-Ⅲのパーソナリティー障害の1型として挙げられた,境界パーソナリティー障害の診断基準にのっとって,臨床的に症例を診断し治療する流れである。DSM-Ⅲの中に境界例が位置づけを得たことによる影響は多大であるし,また,この診断基準に該当するような症例が,診断場面に急速に増加したのもまた事実である。
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