Japanese
English
研究と報告
大麻取締法違反事件非行少年の精神医学的研究
A Psychiatrical Study on the Marijuana Use among Juvenile Delinquents
小田 晋
1
Susumu Oda
1
1東京医科歯科大学犯罪心理学研究室
1Department of Criminal Psychology & Forensic Psychiatry, Institute of Forensic Sciences, Tokyo Medical & Dental University
pp.1083-1090
発行日 1971年11月15日
Published Date 1971/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201822
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1970年〜71年3月にかけ,大麻取締法違反で東京少年鑑別所に収容された非行少年中,面接しえた13例(女子4名)について報告し,現時点における非行少年の大麻乱用の実態について報告する。
(1)年齢的には18〜19歳がほとんどで年少者はいない。鑑別所収容例なので文身,頭部外傷,精神病質,同傾向等は非行少年的な特徴をもっているが,それは強いものではない。
(2)非行その他行動面との関係をみると,他の刑法犯の前件非行をもつもの5例を含むが吸煙の直接影響下の非行例はない。家出歴,フーテン生活との親和性は強く,頻回使用の場合は怠け者で非現実的になる傾向があった。
(3)1970年9月の時点までは大麻取締法違反事件少年は外人となんらかの接触をもつものが全部でマリファナも輸入品であり,職業もジャズマン,ゴーゴー・ガール,地下演劇等に関係ある者がほとんどであった。1970年10月以降に入所した事例は本邦産の大麻を入手して使用しており,1970年において一種の文化的伝播が行なわれたようである。
(4)有機溶剤,LSDとの複合使用者は6例で,うち2例に使用中止後も病的体験の遷延あるいは再現が認められた。
(5)マリファナについては,その精神拡大作用のある反面,身体的依存のないところから解禁説もあるが,本調査の事例では,大麻によって芸術的創造が促進されたものはない。
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