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学会印象記—第12回病院精神医学会総会
長坂 五郎
1
1浅香山病院・精神科
pp.176
発行日 1969年3月15日
Published Date 1969/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201450
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従来の懇話会が,学会となり,第12回病院精神医学会総会として,昭和43年11月7日8日と,宮本哲雄院長(阿波井島保養院)会長のもとに,徳島市で盛大に行なわれた。この学会は年々盛んとなり,会員も1190名(11月1日現在)とふくれあがつてきて,さらに伸展の可能性をもつている。精神病院に勤務する医療従事者の生の声が聞かれるので,精神医療の中心的役割をはたしている精神病院勤務者だけでなく,大学や研究所や総合病院に勤務する人々にとつても,必見必聞の学会であると私は思つているが,現場での体験を通じての声は,ときに叫びにも似て,この学会は,従来からあまりアカデミックではなかつた。きれいごとですまされない感じ,日本の精神医療体制が未熟であるがゆえに,そのままに未熟な,しかし血のかよった,現実的論議が多かつた。いわゆる学会らしからぬ学会,スマートさのない学会という印象を私はもっていた。そしてそれがほんとうの学会であると私は信じてきた。今年もまたおおむねそうした印象を受けたのではあるが,願わくは,"未完の大器"として,日本の精神科医療体系が理想的なかたちをとり,さらに発展をつづけるまで,そうした学会であつてほしいものである。
一般演題は29題,主題演題として,昨年にひきつづき"中間施設的こころみと問題点"が選ばれ,16題の講演があつた。シンポジウムは,"薬物療法の検討と反省"で,関連演題9を含め,4人の演者と2人の指定討論者により,異色のシンポジウムが展開された。
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