Japanese
English
研究と報告
上顎癌手術後の患者3例にみられた精神障害
Mental Disturbances Followed by Operation of Maxillary Cancer in 3 Cases
福田 一彦
1
,
白橋 宏一郎
1
,
岩淵 辰夫
2
Kazuhiko Fukuda
1
,
Koichiro Shirohashi
1
,
Tatsuo Iwabuchi
2
1国立仙台病院
2東北大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiat., Sendai National Hosp.
2Dept. of Psychiat., Tohoku Univ. School of Med.
pp.985-988
発行日 1968年12月15日
Published Date 1968/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201414
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
われわれは上顎癌手術後短期間にあいついで精神障害を呈した患者3例を診察する機会を得た。それらの精神症状の内容はいずれもきわめて類似しており,これを術後精神病もしくは症状精神病と診断してもさしつかえないものと思われたが,その発症において3者の間に続発的傾向を認め,心理感染ともいうべき心因性関与を示唆するにたるものがあると思われた。
術後精神病の研究はKleist(1916)6)にさかのぼるがEwald(1928)3)はすでに手術による侵襲が心因反応を惹起することを指摘しており,また近年になつてE. Lange(1961)7)はKleistの真性術後精神病の存在を疑い,術後精神病に特異的な症状はなく症状特異的な術後消耗の存在を疑つた。かれによれば症状精神病は全身性の生物学的防衛不全,自律神経代償不全,情緒的負荷能力の減少,換言すれば手術に基づく身体因と心因とが術後の不安定な消耗状態に協同的に作用した場合に発生するとした。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.