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I.はじめに
Sequential analysis(逐次検定法)は,第二次世界大戦の最中,A. Waldによつて考案された画期的な方法であるが,その有用性のために,軍事機密として公表をおさえられたという,いわくつきのものである。戦後になつて1947年,これが公表されて以来,初めは工業を中心とする産業界にこの方法が広くもちいられ,漸次科学的研究の分野にひろがつてきているが,医学界にもその有用性ことにその簡便性が知られだしたのは少し遅れて,Bross, I. 1)(1952)やArmitage, P.(19542),19603))の論文が発表されたころからである。胃液分泌抑制作用,気管支拡張作用などの点でこの方法による薬剤の効果判定が行なわれたほか,肝疾患における亜鉛代謝障害の判定などの論文が見られている。
精神医学の分野にもこの方法が使われだしたのは,さらにやや遅れて1959年Sainsbury, P. とLucas, C. J. 4)が初めであろう。かれらはprochlorperazineとplaceboを外来の神経症に二重盲検法により1週間ずつcross-overさせ,不安質問紙からみたスコアを,sequentialtestでもつて有意差をみている。翌1960年にはKlett, C. J. とLasky, J. J. 5)が5つのphenothiazine系薬物を35病院からの640人の精神分裂病の患者に対してfixed-fiexible schedule(それぞれ4週間と12週間),二重盲検法で,2種類の評価表をもちい,治療後1カ月,3カ月にわたつて調査しており,その結果を逐次検定法のチャートでもつて比較している。
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