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I.はじめに
由来副腎皮質ホルモン(副ホ)は最初内用に供され,ついで外用に応用されることが多く,このことは主として外用副ホの開発にあたり,今日まで副ホの局所効果をスクリーニングする適当な方法が殆んどなかつたことによる。しかるに近年McKenzie et al1)2)は副ホの毛細血管収縮作用が臨床上の抗炎症作用と多少の例外はあるが,極めてよく一致することを知り,副ホ外用による皮膚蒼白斑を指標とし,その抗炎症作用を検定しうる可能性を示した。Betamethasone 17-valerateはこの方法により,氏等3)が,Betamethasoneの23種のエステルから選出したもので,第1図の如き構造式を有し,血管収縮作用はFluocinolone acetonideの約3.6倍とされている。
Williams et al4)はBetamethasone 17-valerate(BM-V)軟膏を湿疹462例,尋常性乾癬345例に用い,2重盲検法(Double blind method)により,Fluocinolone acetonide,Triamcinolone acetonide,Flurandrenolone,Betamethasone phosphateおよびHydrocortisone軟膏と比較し,推計学的にBM-V軟膏に最もすぐれた臨床効果が期待できるとし,Bjornberg et al5)も湿疹22例,尋常性乾癬38例につき同様な方法でFluocinolone acetonide(FC-A)軟膏と比べ,湿疹では有意差が認められなかつたが,乾癬ではBM-V軟膏がまさると報告した。また2重盲検法により,Mitchell et al6)は,尋常性乾癬および湿疹50例においてBM-Vクリームは少なくともFC-Aクリームと同等な臨床効果を示し,おそらくはまさるであろうと推論,Buckley7)も乾癬,湿疹など44例での結果より,FC-A軟膏と同程度の効果を認めた。私達もBM-Vクリーム(以下,略してBM-Vと称する)を主として急性湿疹,接触皮膚炎に用い,また2重盲検法ならびに逐次検定法(Sequential analysis)により,Dexamethasoneクリーム(DM)と比較し,極めて優秀な臨床効果を得たので,その大要を報告する。
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