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研究と報告
海外留学生の精神医学的問題(その2)—A. F. S. 交換高校生の滞米中の自覚症状
Psychiatric Problem of Students Sent Abroad for Study: 2.Subjective symptoms observed in the A.F.S. exchange students in the United States of America
島崎 敏樹
1
,
高橋 良
1
Toshiki Shimazaki
1
,
Ryo Takahashi
1
1東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med. Tokyo Medical and Dental University
pp.669-672
発行日 1967年9月15日
Published Date 1967/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201240
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Ⅰ.まえがき
現在までに,わが国よりフルブライト奨学生ならびにAFS交換高校生として,米国に留学しているあいだに,著明な精神障害を呈したとして送還された全例を診療し,その発病前後の状況,および現在までの経過を観察した結果,いくつかの特徴がみいだされたが,それにっいては本論文の第1部で述べた1)。これらはたまたま障害が顕著なものであつたために送還されたのであるが,発病にいたらないまでも,身体的,心理的症状は多かれ少なかれ多くの留学生が体験するものと思われる。フルブライト留学生一般についての,このような点から調査した結果は,稲永ら2)によつてすでに報告されている。しかし,上述の症例の分析結果から,海外生活の精神衛生において注目すべき心理症状としては,分裂病の前段階の症状と,抑うつ状態の前駆症状とが重要であると考えられたので,とくにこれらの点について健康留学生がどのような体験をもつたか,を調べてみた。その結果,既報の症例各様の教えるところとあわせて,海外生活の精神衛生についてある程度の指針を得ることができたように思うので,ここに報告する。
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