特集 精神分裂病の診断基準—とくに“Praecoxgefühl”について
第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
指定討論
村上 仁
1
1京大精神科
pp.130-132
発行日 1967年2月15日
Published Date 1967/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201158
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もう時間がないそうでございますし,とくに申しあげることもありませんが,西丸先生が醜い仏像とPraecoxgefühlとの関係ということをいわれましたので,ふと思い出しました。私の教室のいちばん最初の先生の今村先生が,もうご承知の方もあると思いますけれども,Bergsonが『笑』という本のなかで,mechanicになつた運動は笑いを起こすといつておりますこと,それからモリエールのお芝居の話だとか,そういうものをいろいろ引用なさりながら,結局分裂病の本質は生物学的な社会本能の欠陥にあるとして,schizokornoniaというような名前をつけられました。そしてそのときに,社会本能を失つていないので「醜」ではないが,分裂病のように「奇」ではないといっておられます。
結局Praecoxgefühlとは,いろいろな先生がいわれたように,非常に生物学的な相とでもいいますかそういう面における社会本能あるいは社会性といつたものの障害の表現であろうと思います。それを非常に具体的に,醜というかたちで西丸先生が表現されたのはたいへんおもしろいと思います。しかし,分裂病の醜いという感じは今村先生のいわれた意味での「醜」ではなく,何かそれに加わるものがなければならないと思います。
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