Japanese
English
研究と報告
精神分裂病患者の病前の言語行動—とくに関係文についてのアンケートの分析から
Premorbid Verbal Behavior among Schizophrenics: Questionnaire study
臼井 宏
1
,
土居 通哉
2
,
佐藤 達彦
1
,
池田 マリ
1
,
佐藤 直美
1
,
立壁 典泰
1
,
田代 芳郎
1
,
多田 幸司
1
,
田辺 義貴
1
,
越川 法子
2
,
日下部 陽子
1
,
木戸 幸聖
1
Hiroshi Usui
1
,
Michiya Doi
2
,
Tatsuhiko Sato
1
,
Mari Ikeda
1
,
Naomi Sato
1
,
Noriyasu Tachlkabe
1
,
Yoshiro Tashiro
1
,
Kozi Tada
1
,
Yoshiki Tanabe
1
,
Noriko Koshikawa
2
,
Yoko Kusakabe
1
,
Kosei Kido
1
1日本大学医学部精神神経科学教室
2防衛医科大学校精神科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Nihon University School of Medicine
2Department of Psychiatry, National Defence Medical College
キーワード:
Schizophrenia
,
Premorbid personality
,
Verbal behavior
,
Com-munication behavior
,
Social skill
Keyword:
Schizophrenia
,
Premorbid personality
,
Verbal behavior
,
Com-munication behavior
,
Social skill
pp.23-33
発行日 1985年1月15日
Published Date 1985/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203878
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抄録 79例の精神分裂病患者とその親に患者の病前の雑談についてのアンケートを実施し,それを247名の正常対照群と比較した。分裂病者は小児期からおとなしく,成長後も家族と積極的に雑談をせず,話題に乏しい傾向があり,その結果,対人的社会行動としての,人間関係の形成,維持,破壊に影響を与える文,つまり関係文を習得する機会に乏しいと思われる。病前の彼らは友人に冗談を言ったり,試験,趣味,芸能人などについて発言することはあるが,他人の批判,噂,悪口,陰口などの関係文を避ける傾向がある。そのため,対人関係に関する欲求不満は解消されず,他者の発言する関係文の否定的機能にばかり注意が向き,その真意を理解せず,対人関係についての認知を歪める結果になると考えられる。多くの分裂病者が,批判される,噂される,悪口や陰口をいわれると体験するが,その背景には以上のような病前の関係文に対する態度が関連していると考えた。
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