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研究と報告
精神科における黙秘の義務と権利(Ⅰ)
Schweigepflicht und -recht in Psychiatrie
田村 幸雄
Y. Tamura
pp.635-640
発行日 1966年8月15日
Published Date 1966/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201047
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序言
わが国では,医事法関係の問題になると医師は法家に伺いをたてるだけで,自らはあまり研究しないようにみえる。これらは一面は法律の問題であるが,他面では医療の問題である。診療過誤の例をとると,どこに過誤の限界をおくかは医療の実際を知らなくてはできない。したがつて,これらを法家にまかせきりにしておくと,実状に合わない結果にならぬともかぎらない。事実,このような例があるように私には思われる。ドイツではこのような場合,医家側からも意見が述べられることがふつうであり,これらの人は法律にもくわしいようである。われわれもこれにならい,医療の立場から,もつとこれらの問題に発言すべきではないであろうか。
診療上の秘密を守る義務と権利は,精神科においてとくに重要な意味をもつている。以下,これに関する独,英,米その他の国の状況を紹介のうえ,わが国ではいかにあるべきか,私見を述べようと思う。
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