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研究と報告
臨床場面における自殺の予知について—精神科受診後の自殺企図症例の分析
A Study of Clinical Prediction of Suicide: Analysis of suicidal cases who intended or commited suicide after consulting to psychiatric clinic
古荘 和郎
1
,
藤井 久和
1
,
金子 仁郎
1
,
辻 悟
1
,
高橋 京子
1
K. Furusho
1
,
H. Fujii
1
,
Z. Kaneko
1
,
S. Tsuji
1
,
K. Takahashi
1
1大阪大学医学部精神神経科教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka University, Medical School
pp.691-695
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200884
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I.はじめに
自殺は社会的,心理的,生物的要因がからみあつた複雑な行為であり,その定義をくだすことさえ困難な行為である。そして,その治療,予防となると,精神科の臨床場面という狭い範囲にかぎつてみても,なお至難のわざであるかの感をいだかしめるものがある。しかし,日常,臨床場面において,自殺の問題に直面するわれわれ精神医は自分たちの手のとどく範囲で,多くの患者たちが自ら死を求めて行為していく事実を手をこまねいて見すごしているわけにはゆかない。そこで,臨床場面において,自殺企図の可能性をいちはやく察知することの必要性が痛感されるのである。
このような要請から,われわれは,われわれの臨床を訪れた後に自殺を企図する症例を掌握することにつとめ,昭和32年から現在にいたる間にその数は50症例の多きに達したので,これらを自殺企図の臨床場面における予知という見地から分析したいと考えた。
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