Japanese
English
研究と報告
セネストパチーについて—自己の病に対する態度
Cénesthopathia: The Attitude to One's Own Disease
小池 淳
1
,
工藤 義雄
2
Jun Koike
1
,
Yoshio Kudo
2
1小曽根病院
2大阪警察病院神経科
1Ozone Hosp.
2Osaka Keisatsu Hosp.
pp.1009-1012
発行日 1968年12月15日
Published Date 1968/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201418
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Ⅰ.緒言
客観的な異常所見がないのにかかわらず,身体に関する奇妙な感覚に苦しむ病者にセネストパチーなる名称が与えられていることは周知のことである。わが国では,三浦3),保崎4)5)の論文以来,かずかずの論文2)6)8)がみられ,最近では吉松7)のすぐれた論文が発表されている。
セネストパチーを広い意味にとれば,かかる病者の多くは神経症群に,また分裂病群に属すること,および,脳器質障害もセネストパチーの発生因となりうる可能性についても前回報告した。最近,Dupre1)の言う狭い意味のセネストパチーと考えられる2症例に接したので,これを報告し,広い意味のセネストパチーの他の群(神経症群,分裂病群)と,主として自己の病に対する態度の面で,比較検討したい。患者が似たような奇妙な身体感覚を訴える場合,その訴える内容と同時に,広く患者の言動,とくに自己の病に対する態度を検討することが臨床的に重要であると考えるからである。訴える内容自身も,ときには患者の体験する感覚そのものとはいいがたく,しばしば変形され,誇張され,また加工されて,極端な場合には感覚とは言いがたいこともあり,訴える内容も病的人間像全体より吟味されねばならない。また広く患者の態度を検討することにより,前回暫定的に分類したカテゴリーもいつそう特徴化されると考える。
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