Japanese
English
研究と報告
向精神薬物と肝機能に関する臨床的研究
Clinical Study on Psycho-tropic Drugs and Liver Function
挾間 秀文
1
,
一木 子和
1
,
出田 哲也
1
,
梅末 正男
1
,
住田 豊治
1
,
横田 博司
1
,
向井 彬
1
H. Hazama
1
,
S. Ichiki
1
,
T. Ideta
1
,
M. Umesue
1
,
T. Sumita
1
,
H. Yokota
1
,
A. Mukai
1
1九州大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med., Kyushu Univ
pp.591-597
発行日 1965年7月15日
Published Date 1965/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200870
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I.はじめに
最近,精神疾患の治療における薬物療法の占める割合には目をみはるものがあり,新しい向精神薬の適応や効果などに関する臨床報告も数多くなされ,その作用機序や副作用などについて論じられている。しかし,そのなかで,向精神薬が肝機能を障害するということについては,かなりの懸念がもたれているにもかかわらず,その関係に関して系統的に研究した報告はあまりないようである。もつとも,chlorpromazine(以下CPと略す)による肝障害については,1955年ごろから断片的ではあるが,報告されており,それによると,Hormia1),Wirth2),Scholtz3)らは,動物実験で肝臓への影響はなかつたと報告している。臨床的研究として,Kinross Wright4),Moyer5),Michel6),らの報告がある。Moyerによると,患者63例にCPを2カ月間与薬し,縦断的に肝機能を検査しているが,とくに,肝障害を見てはいない。そのうちには,1日量1,500mgから3,500mgまでの大量を与薬している例も含まれている。これに対して,Samnels7)は,自殺の目的で5〜10gのCPを服用した患者の血清Alkaline phosphataseの病的増加を見て肝障害の現われであると述べている。Popper8)は,肝細胞毒としてのCPの影響を述べた。Sims9)は,CP与薬中の患者16人の肝臓Biopsyで,4例に細胞滲潤を見ている。
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