Japanese
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展望
地域社会精神医学の展望
Current Aspects of Community Psychiatry
加藤 正明
1
1国立精神衛生研究所
1National Institute of Mental Health
pp.581-590
発行日 1965年7月15日
Published Date 1965/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200869
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I.Community Psychiatryの概念
L. Bellakは地域社会精神医学を精神医学における第3の革命とみなし,それが公衆衛生学,疫学,力動精神医学などの発展と関連するばかりでなく,向精神剤の発見が在院期間を短縮させ,アフタケアやリハビリテーションを促進させたことによつて展開されたとしている。向神経剤による精神障害の治療は,いわゆる病院内寛解を増やし,外来通院で扱える患者を増やしたのであるが,これをさらに一歩前進させるためには,地域社会内に精神障害者をおいて治療を進めていくというコミュニティケアの必要性が痛感されている。いわば従来の「入院中心主義」に代わつて,「地域社会中心主義」(community-centeredの考え)が拡がつてきたのである。
また,世界各地における精神医学的疫学調査の結果は,治療や指導を必要とする精神障害者が地域内に多数存在していることを明らかにしており,精神医学的疫学が単に精神障害者の発現率や有病率を明らかにするばかりでなく,発見事例に対する対策,一貫した精神障害者医療体系の確立をめざす必要のあることが要望されるようになつた。
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