Japanese
English
研究と報告
Desipramine(Pertofran)の臨床使用経験
Clinical Experiences with Desipramine
金子 仁郎
1
,
谷向 弘
1
,
武貞 昌志
1
Z. Kaneko
1
,
H. Tanimukai
1
,
M. Takesada
1
1大阪大学医学部精神神経科学教室
1Dept. of Neuropsychiat., Osaka University Medical School
pp.265-270
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200829
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desipramineを各種のうつ病像患音44例,能動性減退を主症状とする精神病患者7例に試用した結果,つぎの成績をえた。
すなわち,うつ病像を呈した患者の61%に著効を,23%に有効を,合わせて84%に有効以上の効果を認めた。効果の発現はimipramineに比しかなり速やかで,32%が1週間以内に,62%が2週間以内に反応しはじめ,効果発現に4週間以上かかつた症例はなかつた。
本剤によつてもつとも影響を受けやすい精神症状は,意志思考抑制にもとづく諸症状で,とくに能動性減退を改善する作用が強く,これを主症状とする精神分裂病および類縁疾患にも好影響を与えた。
副作用の出現頻度はかなり高いが,重篤なものはなく,本剤での治療に支障をぎたすことはほとんどない。
以上,desipramineはうつ病像,とくに意志思考抑制面の症状に対して有効な薬剤であつて,imipramineに比し効果発現が速やかである点においてとくにすぐれているといえると思われる。
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