特集 精神分裂病の“治癒”とは何か
第1回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
指定討論に対する演者の回答
pp.230-231
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200823
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司会(諏訪) それでは各演者に少しずつお答えいただきます。それから分裂病の治癒像について一言ずつおふれいただきたいと思います。
加藤 安永先生に簡単にただ一つの点についてのみお答えします。このWiederkehrende Kernsituationという治癒状況は,一種の分裂病者の治癒をあらかじめ示すとしても,実際こういう状況を通さなくとも分裂病はなおつていくのではないかという疑問かと思います。これは非常にむずかしい問題ですが,私は結論として,やはり分裂病者が治癒していくときにはこの状況を通して治癒しつづけていくものと思います。実際,分裂病の本当の治癒というものはschweigendに行なわれるものでしよう。このようにmanifestにすることは,何かをかくしてしまうことになつてやはりそこにまちがいが生まれてくると思います。実際,私はかくれたもののうちによりいつそう治癒の秘密がひそんでいると思うのでありますが,しかし「分裂病の治癒とは何か」との答えへの手がかりをえようとすると,その治癒を予示するものとしてこのようにやはりぎりぎりのところで表現をせざるをえないと思います。
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