特集 精神療法の限界と危険
第1回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
演者からの解答
pp.121-124
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200802
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井村 第1に小此木さんにお答えいたします。小此木さんの問題の1つの点は,要するに私の申しあげました治療者の個人的要因というものがどの程度改善されるかということだと思います。これは私の申しあげたempathyの能力の欠陥が非常に重い場合は,容易になおるものではないと思います。そうでなければ,psychotherapyは治療者自身にも変化を与えますので,superviseを受けながらpsychotherapyを通じて身につけることができると思います。それ以外にも幾つかの方法があると思います。私としましては,文学的な書物を読むこと。小此木さんは,昨日の話では哲学的な方面に関心をもつようにという話でしたけれども,私は哲学よりも文学のほうが実際的であると思います。
つぎに佐治さんにお答えいたします。格率というようなことをいうよりは,治療の記録をあげて検討したらどうか,ということ,それはもつともです。私もぜひそうしたい。私自身はあまりそれをやりませんけれども,ときどきはやつております。幸いに佐治さんが,それを私のところへきてやつてくださつたので,あのテープレコーダーを拝聴して,佐治さんの治療法の真実性というものがよくわかりました。音調に現われる真実性を痛感しました。それこそempathicにわかりました。私自身もやりたいし,それから森田療法その他のエキスパートに,ぜひそういうことをやっていただきたいと思います。できたら私どもの所へきていただいて,録音と同時に生理学的な変化もとらせていただきたいと思います。
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