研究と報告
メジマイド賦活による誘発自動症
桑原 道直
1
M. Kuwahara
1
1久留米大学医学部精神経科学教室
1Dept. of Neuropsychiat., Kurume Univ. School of Med.
pp.683-688
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200746
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I.まえがき
複雑多彩な症状を示す精神運動発作は,近年大脳辺縁系に関する研究のいちじるしい進歩により,その神経機序が漸次解明されてきているが,その難治性とともにこんにちなおてんかん領域における重要な課題であろう。笠松1)は精神運動発作を自動症と精神発作とに大別し,精神運動発作の出現頻度2)はてんかん患者の約20%を占めて大発作についで多く,しかも自動症は東京大学清水外科の統計3)によると精神運動発作の66%にあたり,したがつてまれなものではない。ところが臨床上自動症は時に小発作と誤られることがある。しかし脳波的にこの両者は後述のような一部の例外をのぞいて区別される。すなわちGibbs,Lennox(1937年)4)はpsychic variantの患者の発作時の脳波に高振幅徐波(3-6c/s)を認めた。佐野3)は「かれらはその臨床像を明らかに定義しなかつたが,おおよそ自動症の全部ならびに少なくとも一部の夢幻様状態を包括するものと思われる」と述べている。さらに精神運動発作は前側頭部焦点と関連があり,とくに睡眠賦活によつて焦点が明らかになることがわかつた5)。一方Gibbsら4)は小発作の患者に3c/sの律動性のspike & waveを見た。しかし内村ら6),Penfield,Jasper7)は脳波では小発作特有の3c/sのspike & waveを示し,臨床発作は自動症を呈するものがあることを報告している。
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