Japanese
English
研究と報告
Amimethylineによる抑うつ状態の治療経験
Clinical Experience of Amimethyline on Depressive State
松本 胖
1
,
小泉 準三
1
Y. Matsumoto
1
,
J. Koizumi
1
1千葉大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuro-psychiat., Chiba Univ. School of Med.
pp.459-463
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200716
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
われわれは,Dibenzccycloheptene系化合物であるAmimethylineを単純性うつ病12,周期性うつ病6,躁うつ性うつ病3,退行期うつ病1,反応性うつ病6,抑うつ性格2,計30例に試用した。
(1)使用方法はすべて経口法により1日量15〜80mgの持続投与を主とし,できるかぎり単独療法を行なつた。使用期間は14〜30日,使用総量は210〜1,800mgを用いた。
(2)抑うつ状態に対する使用成績は著効12,有効7,やや有効5,無効6で,全般的な有効率(著効+有効)は63.3%であるが,病型別では,単純性うつ病66.7%,周期性うつ病83.3%、反応性うつ病83.3%で,本剤は内因性のみならず反応性うつ病にもかなり効果があると推測される。
(3)病的精神症状に対する本剤の態度は,主として抑うつ気分変調の改善に書効果を示し,これに関連する不安感,苦悩,劣等感,自殺観念などにも効果がある。
(4)随伴症状と考えられるものは,口渇,悪心,下痢,発疹などであつたが,その程度も発現頻度もきわめて低く,1例をのぞいては治療の中止を必要としなかつた。
(5)本剤は強力な抗うつ作用を有するが,主としてthymolepticに作用する場合が多く,ある程度の賦活作用はあるが,MAO-Iに見られるような中枢神経刺激作用は見られない。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.