Japanese
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研究と報告
一卵性双生児の一方に現われたAnorexia Nervosaの1例
A Case of Anorexia Nervosa Observed in One of Monozygotic Twins
山岡 正規
1
,
日下部 康明
1
,
柄沢 弘幸
1
Masaki Yamaoka
1
,
Yasuaki Kusakabe
1
,
Hiroyuki Karasawa
1
1群馬大学医学部精神神経科教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Gunrna Univ. School of Med.
pp.659-665
発行日 1979年6月15日
Published Date 1979/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202950
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I.はじめに
1874年Gull, W. W. によって命名されたanorexia nervosa(an. n.)は,20世紀前半ドイツを中心に下垂体障害説が主張されたが,その後再び心因説が有力になり,本邦でも梶山7),石川ら6),下坂10)をはじめ多くの心理学的,精神病理学的研究が発表されてきている。しかし,原因論をめぐって,その本態は必ずしも明確ではなく,たとえば心身相関の症候群であるとしても,その裏付けは決して容易ではない。それは内因性精神病から神経症に至るまで,個体と環境の二大条件が病因論として常に問題にされてきたように,その実証の困難性が一つの背景にある。このような中で,方法論的拠りどころの一つが双生児研究であろうが,双生児に発症したan. n. の報告は,一致例,不一致例を合わせても数少ない。今回われわれは一卵性双生児の一方にのみ発症したan. n. の1例を経験したので報告し,特にその発症について心理的側面から考察する。
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