特集 近接領域からの発言
第52回関東精神神経学会懇話会
いわゆる生理学的研究について
平尾 武久
1
1群馬大学第二生理
pp.12-14
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200653
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今日は,精神科の先生方に,私のほうから何か注文をつけてくれというような話でしたが,直接注文つけますよりもむしろ1人の若い生理学の研究者が,生理学の仕事をどんなように考えてやつているかを聴いていただきたいと思います。私外国に行きまして,イタリアのピサの研究所に行きました。そこではMoruzzi教授がおりまして,これは非常によくできる人で,彼の下で10人くらい外国人のドクターがやつているというところです。で,どういうときに私が行つたかといいますと,ご存知だと思いますが,例の脳幹網様体が覚醒の中枢である,あれをつぶすと動物は寝てしまう。脳波は眠つた脳波が出るのだというわけでありますが,それからさらに一歩進めまして,それもちよつと残しておくと,全然眠らない猫ができる。3週間くらいぶつつづけに寝たことがない。そういう猫の脳標本をMoruzzi教授らが作つた。
ところがそういうことをいいだしますと,いろんな研究所でいろんなことをやるのでありまして,もう数にまかせてマスプロをやるわけです。そうすると,やつぱり眠る猫が現われたり(笑),どうもあれはあやしい,いや切りかたが悪いとか,水をつけすぎたとか,切断を上にやれとか,下にやれとか,猫の種類を選べとか,魚をくわせたとか,ビタミンを注射したとか。
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