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はじめに
いわゆる五十肩(以下五十肩と略す)とは一般に中年以後の退行性変化を基盤として発生し,有痛性の肩関節運動障害を主徴とする症候群として理解できる.この疾患の解明には多くの先人の努力の集積があり,歴史的に概観すれば病因について二つの大きな流れがある.一つは腱板,肩峰下滑液包に,他方は上腕二頭筋長頭腱にその病因を求めている.前者はDuplay7)(1872)に始まる.彼は肩峰下滑液包に原因を求めperiarthritisという表現を用いた.Baer2),Painter13)(1907)は肩峰下滑液包の石灰沈着を認め(これは後にWrede(1912)が棘上筋腱内石灰化症の誤りである事を指摘したが)これに原因を求めた.肩関節外科の先駆者Codman5)(1934)は腱板のtendinitisに起因する二次性肩峰下滑液包炎が主因と考えた.この考えはArmstrong1)(1949),Bateman3)(1972)らにうけつがれ現在に至っている.一方後者はMeyer11)(1928)に始まる.彼は上腕二頭筋長頭腱に注目し,この腱鞘炎こそ五十肩の原因とした.これはLippman10)(1943)Hithchock8)(1948)らにうけつがれ,現在でもDepalma6)(1948)が同様の見解を述べている.われわれは1971年以来肩峰下滑液包造影(以下Bursographyと略す)を施行し,五十肩の病解明に応用してきた.すなわち五十肩におけるBursography所見を解明し,滑液包内へ正確に局麻剤などを注射するというテクニックを駆使し治療を行ってきた.その結果大多数の症例に滑液包内注射の効果を認め,二次性肩峰下滑液包炎を病因とするCodmanの考え方を支持する知見を得た20)21).
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