特集 近接領域からの発言
第52回関東精神神経学会懇話会
治療における人間関係
安食 正夫
1
1東京医大社会学
pp.8-12
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200652
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今日のテーマは,治療における人間関係という大変漠然とした大きなテーマであります。今日の地方会でも“呼び名を指標とした人間関係の研究”,“精神障害に対する認識および治療的態度に関する研究”などというような非常に興味のあるご報告がありました。そういう材料を挿入しながら人間関係というものの私の立場からの分析を多少お聞き願いたいと思います。
人間関係という言葉は,human relationsという言葉のわけです。日本の言葉にはずいぶん翻訳が多いんですけれど最近非常にこの言葉が流行してるようです。流行しているのはいいのですが,その使われている意味が非常にまちまちです。まあこれは仕方がないとしても,人間関係というようなものが治療のプロセスにおいて,どういうふうな機能をはたすものか。さらに治療者と患者との人間関係とか,治療—臨床場面における人間関係といつた言葉が使われているわけですが,いつたいそういう機能を人間関係というものはもつものかどうか。本当に役にたつのかというようなことをまず多少検討してみたいと思うのです。
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