Japanese
English
研究と報告
Vorbeiredenの精神病理について
Zur Psychopathologie des Vorbeiredens
中田 修
1
O. Nakata
1
1東京医科歯科大学総合法医学研究施設
1General Institute of Legal Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.789-794
発行日 1963年10月15日
Published Date 1963/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200617
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はしがき
Vorbeireden,Ganser症候群,偽痴呆などは,すでに精神医学の日常語になつており,いまさらそれを論ずるまでもないであろう。しかしながら,わが国ではこの種の状態に関する深い精神病理学的研究に乏しいようであり,また,ドイツ,スイスなどはともかくとして,英米などでは最近でもGanser状態に関する発表がときどき眼につくようである。さらに,最近,私が1自験例について文献を参照しながら検討をすすめていたところ,その症例がVorbeiredenの精神病理の解明に示唆するところが少なくないことが明らかとなつた。このような理由から,以下に1症例を中心にしてVorbeiredenについて論じ,とくに臨床の参考に供したいと考える。もつとも,のちに明らかになるように,私が到達した見解は,すでにRaeckeが1922年に叙述しているものとそう異ならないようである。なお,この症例は,私が15年ほど以前に東京拘置所において観察し,のちに,当時の都立松沢病院長林障氏が石川準子氏とともに精神鑑定を行なわれた例である。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.