Japanese
English
研究と報告
ヒステリー性もうろう状態とてんかん性もうろう状態の言語面での比較—“vorbeireden”の再評価の試み
Linguistic Analysis of Organic vs. Hysterical Confusion: an attempt to reevaluate “vorbeireden”
兼本 浩祐
1
Kousuke Kanemoto
1
1国立療養所宇多野病院関西てんかんセンター
1Kansai Regional Epilepsy Center
キーワード:
Postictal confusion
,
Ganser syndrome
,
Hysteria complex partial seizure
,
Paraphasia
Keyword:
Postictal confusion
,
Ganser syndrome
,
Hysteria complex partial seizure
,
Paraphasia
pp.1077-1084
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903128
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【抄録】 間歇的な意識消失発作を伴うGanser症候群を呈した女性患者において発作後もうろう状態の際に言語検査を施行し,その結果を複雑部分発作後のもうろう状態における言語検査の結果と錯語に重点を置いて比較した。その結果,ヒステリー性のもうろう状態において産出された錯語は,目標語と同じ意味範疇にとどまる,形式的語性錯語・語音連合など聴覚・言語的連想の脱抑制がみられず,保続性錯語もわずかである,系統的な漢字の錯読がみられるという点でてんかん性もうろう状態における錯語と異なっていた。さらに,てんかん性もうろう状態においては目的語に到達しながらそれと気づかず「通り過ぎて」しまうことがあるのに対し,ヒステリー性もうろう状態においては目的語がそのままの形で表出されることが巧妙に回避される点を,両者の“vorbeireden”の相違点として指摘し,シーニュの成立という観点から論じた。
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