Japanese
English
--------------------
2—3皮膚疾患に対するMAO抑制剤Nialamideの治験
CLINICAL EVALUATION OF NIALAMIDE IN SOME DERMATOSES
宮沢 偵二
1
,
熊坂 鉄郎
1
Teiji MIYAZAWA
1
,
Tetsuro KUMASAKA
1
1仙台逓信病院皮膚科
1Deft. of Dermatalogy, Sendai Teishin Hospital
pp.241-244
発行日 1962年3月1日
Published Date 1962/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203242
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
情緒の変化によつて皮膚に種々の生理的変化,例えば発赤,蒼白,発汗,鳥肌等があらわれてくることは周知のことである。このような一過性の情緒変化によつてだけでなく,持続的な情緒の緊張によつて,皮膚に器質的な変化を惹起すること即ち情緒因子が皮膚疾患の発症に重要な役目を演ずることは十分に考えられる所であり,Obermeyerは皮膚疾患を真性皮膚神経症,情緒因子が通常重要な要因となるもの,精神的要因の認められるもの,感染症で精神的要因が認められるものの4項目に分類した。金子1)2)は蕁麻疹,円形禿髪症患者にそれぞれ共通した人格特徴を面接,Rors-chach Test,TATの方法より明らかにして居り,帷子3)は神経皮膚炎を精神身体医学的に考察し,平均的人格像に一つの特徴を見出した。
Monoaminooxydase (MAO)抑制剤とよばれる一群の薬物は脳内アミン類の分解を抑制し,脳内アミンの増量を招来せしめ,精神の賦活をはかり,うつ状態の改善をもたらすものであり,この点に於て上述の情緒因子と密接な関係があると考えられる皮膚疾患に適用した場合,如何なる反応を示すかが興味を持たれる所である。一方MAOが活動する範囲は脳内許りでなく,Muscholl4)の実験によりモルモット心筋内のカテコラミンがMAO抑制剤により異動することが認められ,またYasuda and Montagna5)により人皮膚に組織化学的に多量のMAOが証明された。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.