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研究と報告
Diurex(5-chloro-2:4-disulphamyl-toluene)による難治てんかんの治療
Treatment with Diurex (5-chloro-2:4-disulphamyl-toluene) in Refractory Epilepsy
和田 豊治
1
,
福島 裕
1
T. Wada
1
,
H. Fukushima
1
1弘前大学精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiat., Hirosaki Unive rsity, School of Med.
pp.653-657
発行日 1962年9月15日
Published Date 1962/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200479
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Ⅰ.緒言
精神神経科領域における薬剤の最近の進歩はめざましいものがあるが,てんかん治療の分野においても,ここ数年来種々の抗てんかん剤が登場し,こころみられてきた。ことに,最近のいちじるしい傾向は従来の抗てんかん剤とはまつたく構造・薬理作用を異にする薬剤の登場である。なかんづく,Acetazolamide1)および最近われわれが新抗てんかん剤として報告した7-chloro-4-quinoline diphosphate2)は,最初まつたく他の疾患に対する薬剤としてあらわれ,それがてんかんに対して使用されて,よい治療効果を示した点でまつたく特異的であり,特殊てんかん剤ということができよう。もちろん,これらの最近の抗てんかん剤は,単独では十分な抗てんかん作用を期待しえないとはいうものの,従来の抗てんかん剤にしばしばみられるような睡気・発疹・失調・肝障害・白血球減少などの副作用はほとんどなく,この点でこれら従来の抗てんかん剤との併用―つまり,他の副作用の多い抗てんかん剤の減量,あるいは付加的投与によつて,すぐれた治療効果を期待できる。ここに,これら最近の抗てんかん剤の特徴や利用用途を見出すことができる。
上にのべたごとく,Acetazolamideはすでに抗てんかん剤としても認められてきているが,最近これと同様に炭酸脱水酵素抑制剤として利尿・降圧・眼圧降下に奏効する5-chloro-2:4-disulphamyl-tolueneが合成され,Davisら3)によつて動物実験で本剤が抗けいれん作用をもつことが証明された(第1図)。
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