Japanese
English
研究と報告
精神分裂病様症状をともなつたマルファン症候群の1例
A Case of Marfan's Syndrome with Schizo-phrenic-like Symptom
杉本 直人
1
,
下条 和敏
1
,
森 清則
1
,
小林 淳鏡
2
N. Sugimoto
1
,
K. Shimojo
1
,
K. Mori
1
,
J. Kobayashi
2
1岐阜県立医科大学神経精神科
2京都大学医学部精神科
1Dept. of NeurorPsychiat., Gifu Prefectural Medical College
2Dept. of Psychiat., Kyoto Univ., School of Med.
pp.475-481
発行日 1962年7月15日
Published Date 1962/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200458
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Ⅰ.緒言
いわゆるマルファン症候群という疾患名の創設は,1931年,H. Weve29)によるものである。文献のうえでこの疾患の最初の報告は,1896年にA. B. Marfan16)による,5才の1女児に関する症例報告に始まる。彼は,四肢の骨が異常に細長く,同時に腱の短縮した特異な体型を有する患者を見出し,これを四肢の先天性奇型と考えてDolicostenomaly(Langgliedigkeit)なる名のもとに記載した。しかしこの記載では,単に四肢の特徴がとらえられたのみで全身所見の十分な観察はなされていなかつた。
その後MarfanからWeveまでの間に,この体型の特徴のほかに他の重要な所見,たとえば眼球の水晶体偏位,虹彩震盪あるいは心臓血管系の障害などの知見がえられるとともに,諸家によつてこの疾患に種々の名称が与えられる結果ともなつた。これにArachnodactyly-Achard1)(1902) Acromacry-Moniz18)(1925)らの別命がある。
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