Japanese
English
研究と報告
酒客のCyanamideによる飮酒量抑制効果について
Clinical study on the anti-alcoholic action of Cyanamide
向笠 寛
1
Hiroshi Mukasa
1
1久留米大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry Kurume University Medical School
pp.23-28
発行日 1960年1月15日
Published Date 1960/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200175
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Ⅰ.緒言
慢性酒精中毒の治療がしばしば失敗する最大の理由は,患者が飲酒の誘惑(酒を飲む楽しみ,あるいは酒を飲んでStressを忘れること)に負けて抗酒薬の服用を止め,ふたたび飲酒を試みる結果,たちまち従前通りの連続的大量飲酒をはじめるに至ることである。したがつて,Antabuseの発見者E. Jacobsenもいうように1),酒精中毒者から飲酒の楽しみをすべて奪い去るのでなく,常人なみの飲酒はこれを続けさせることができるような手段があればもつとも合理的であろう。そしてこれは慢性酒精中毒者達の夢でもある。しかしながら不幸にしてこのような手段は現在まで発見されておらず,今日唯一可能な方法は,絶対的禁酒を生涯続けさせることである。
私はさきにCyanamide(以下Cy. と略記)の抗酒作用について報告し4),それが極めて著明な抗酒作用を持ち,かつ速効性,安全性,廉価,副作用がないなどの点で,Antabuseや石灰窒素に優ることを指摘した。
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