Japanese
English
研究と報告
Cyanamide Double Medicationにおける飲酒嗜癖者の抗酒反応に対する態度について
The Alcoholic Patient's Attitude toward Cyanamide-Alcohol Reaction in the Cases treated with Cyanamide Double Medication or Cyanamide Special Therapy
有川 勝嘉
1
,
長沼 六一
1
,
小鳥居 衷
1
Katsuyoshi Arikawa
1
,
Rokuichi Naganuma
1
,
Makoto Kotorii
1
1久留米大学医学部精神神経医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Kurume Univ. School of Medicine
pp.853-860
発行日 1973年8月15日
Published Date 1973/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202063
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I.はじめに
いわゆる慢性アルコール中毒ないしはその基盤をなす飲酒嗜癖の治療としてのcyanamide double medication8〜10)やspecial therapy8)においては,治療過程の全部またはそのほとんどの部分で患者は抗酒剤Cyanamide(以下Cyと略す)の服用を自覚していないので,患者がCyを投与されていることを知らずに飲酒することに種々の観点から危惧の念を抱かれているようである。その一つはCyの服用を知らない患者が大量飲酒によって過大な抗酒反応をひき起こすのではないかという点と,もう一つは患者が体験する抗酒反応に疑問を感じ家族(主として妻)からの抗酒剤の投与が露呈して家庭内の人間関係をそこなうのではないかという懸念である。われわれはこれまでこれらの外来治療を多数例にわたって行ない,すぐれた治療効果3)やその背景には患者をとりまく人間関係の改善がみられる4)こと,あるいはCy投与にさいしての具体的な注意点5,9)などを報告し,以上の疑問点の一部にはすでに答えている。今回さらにこれらを具体化するために,家族を通して患者が家族からのCyの投与を知ったり疑ったりしているかどうか,もし疑っている場合患者はどんな反応を示しているか,また疑っていない場合患者は自己の体験する抗酒反応や耐酒量低下をどのように受けとっているかについて調査した。ここに結果を報告し,そこに見られた患者の人間的特徴の一側面について考察する。
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