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1.緒言
てんかんの診断にあたつて脳波の検査がもつ意義と重要性は,いまさらのべるまでもないが,てんかんのすべてが常に異常脳波をしめすとは限らないこともよくしられている。Schwab(1951)1)によれば,発作間interseizureには通常の安静時や過呼吸時の記録のみでは,その15〜20%が正常脳波を示すという。そのためにさまざまな異常波の賦活法が用いられている。
自然の,あるいは薬物による睡眠時記録,ペンタゾール賦活,閃光刺激による賦活,閃光・ペンタゾール賦活,音響刺激,クロルプロマヂン賦活そのほかである。この中でもつとも多く使われている方法は,ペンタゾール(Pentamethylentetrazol)による賦活法で,70%に発作波形を賦活するといわれる(Kaufman, Marshall & Walkerら)2)(1947年)。本賦活法は,研究者によりかなり異つた方法が用いられ,その濃度,注射速度,用量などの相異により,非てんかん性の対照群における成績にもかなりの差異がみられる。すなわちCufe, Rasmussen & Jasper(1948)3)らは,対照群の,26%に発作波をみとめ,Fuglsang-Frederiksen(1952)4)は1.6%,Merlis, Henriksen & Grossman(1950)5)らは0%,Buchthal & Lennox(1953)6)らは15%,Schwamb, Clausen & Sumner(1956)7)らは40%というごとくである。また,まだ明瞭な発作波形が出現しないうちに,突然臨床発作に移行してしまう場合,いいかえれば異常波賦活閾値とけいれん誘発閾値との差が僅小な場合がすくなからずあることも,欠点の1つとしてあげられよう。
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