Japanese
English
研究と報告
特異な経過を示した冬型脳炎の1臨床例
A Case Report of So-Called "Winter-Encephalitis" with Peculiar Course
新井 尚賢
1
,
山本 英子
1
N. ARAI
1
,
E. YAMAMOTO
1
1東邦大学医学部神経科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Tōhō University Medical School
pp.103-109
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200060
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1.緒言
昭和21年以降わが国においてEconomo型脳炎あるいは冬型脳炎として報告された症例は2,3にすぎない。一方Economo型脳炎と日本脳炎との臨床上の鑑別は非常に困難であるとされているが,Economoが記載した脳炎は,冬および春に多く発病し,無熱,嗜眠,眼瞼下垂,複視などを主訴とし,またParkinsonismusおよび,性格変化をのこすことが多いとされている。
本例は1月に発病した点でEconomo型の条件をそなえているが,急性期およびその後の経過の上からみると,臨床症状はむしろ日本脳炎にちかく,また補体結合反応の結果も日本脳炎に疑がおかれ,現在なおいずれとも決定をみていないものである。本例のこの間の事情はすでに長野によつて発表されている1)。私たちはその後本例を観察する機会を得たが,その精神症状の経過は特異と思われる点が多いのでここに報告する。
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