Japanese
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研究と報告
山陰地方の狐憑きについて
On the Kitsune-tsuki (Possession of Demon-Foxes) in the Sanin District
新福 尚武
1
N. SHINFUKU
1
1鳥取大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Tottori University, School of Medicine
pp.83-90
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200058
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憑きものの迷信はわが国の4分の3地域にわたつているといわれるが,その中でも山陰地方の狐持ちと狐憑きの迷信は,範囲の広い点,社会的害毒のひどい点で,全国屈指のものである。狐持ちの迷信とは狐を飼つている特別の家系があるという迷信,狐憑きの迷信とは狐が愚いて病気を起したり,災難をもたらしたりするという迷信で,両者は大体もちつもたれつの関係にある。このうち狐持ちの方は主として民俗学の対象であるが,狐憑きの方はもつぱら精神医学の研究すべき問題である。われわれの研究にはまだまだ多くの問題が残されているが,1つの資料として今日までの成果を取纒めて報告しておきたい。
さて,狐憑きの迷信は人狐(ニンコ),狐持ち,狐憑きの要素から成立すると考えてよいのであるから,以下には人狐,狐持ち,狐憑きの順に述べ,その後に発生機制,疾病学的位置などについて考察することにする。
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