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はじめに
2012年6月28日の「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会」1)において提示されたように,精神科医療においては,新規入院患者は毎年約50万人でそのうち3か月で6割,1年で9割が退院する。したがって1年以上の長期入院患者はその1割に相当する5万人が毎年増加している。一方,現在1年以上の長期入院精神障害者は20万人以上で,そのうち5万人は毎年退院するが新たに前述した5万人が加わるため,結果的に長期入院患者は減少しない。
そこで,3か月未満の入院患者病床に対しては医師・看護職員は一般病床と同等の配置とし,精神保健福祉士などの退院支援に関わる従事者を規定すること,3か月から1年未満の患者病床については,医師は現在の精神科病床と同等の配置,看護職員は3対1の配置を基本としつつ,その内一定割合は精神保健福祉士などの退院支援に関する配置を規定することとしている。これはやむを得ず長期入院を必要とする重度かつ慢性の患者は存在するが,その基準を満たさない新規患者は1年以内に退院させることともとれる。さらに地域移行の取組を推進するため,1年以上の長期在院者が入院している病床は,医師は現在の精神病床の基準よりも少ない配置基準とし,看護師,精神保健福祉士,作業療法士,理学療法士,看護補助(介護職員)などの多職種で3対1の人員配置基準とすることとしている。さらに,解放的な環境を確保し外部の支援者との関係を作りやすい環境にすることで,地域生活に近い療養環境にすることとしている。以上の内容が,2014年4月の診療報酬改定に一部盛り込まれた結果となった。これにより精神科医療における入院期間の短縮と長期入院患者の退院促進を明確化された訳である。
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