Japanese
English
展望
精神医学とクリニカルパス
Psychiatry and Clinical Path
伊藤 弘人
1
Hiroto ITO
1
1厚生労働省大臣官房厚生科学課
1Health Sciences Division, Minister's Secretariat, Ministry of Health, Labour and Welfare
キーワード:
Clinical path
,
Economics
,
Psychiatry
,
Standardization
,
Variation
Keyword:
Clinical path
,
Economics
,
Psychiatry
,
Standardization
,
Variation
pp.6-18
発行日 2005年1月15日
Published Date 2005/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100165
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
精神障害の病因,診断,治療,予防などを科学的に研究する医学の一分野である「精神医学」と,医療の過程が類似する特定の疾患について医療内容と時間経過との2次元のクリニカルパスシートを用いて行う,医療施設の継続的な質改善活動の一つである「クリニカルパス」とは,どのような関係にあるのか? この問いは,いくつかの理由から難問である。
第1に,精神医学に限らず,医学は治療論より診断論のほうに関心が高い傾向がある。第2に,治療論においては実際の患者への通常の治療による「効果」より,新薬の開発に代表される新たな治療技術における「効能」が注目されることが多い。第3に,クリニカルパスとはそもそも看護学領域の事柄と理解され,精神医学との関係は希薄と考えられている場合が多い。確かに,現在出版されている精神医学の教科書の構成にクリニカルパスはなじみにくい。また,Medlineでクリニカルパスに関連する用語を検索しても該当する研究は限られている(たとえばPanellaら26))。
それでは,精神医学とクリニカルパスは無縁であろうか? この疑問に対しては,「否」と答える多くの論拠がある。クリニカルパスの活動は,精神医学へ多くの問いかけをしているからである。そこで,本論では,まず,クリニカルパスの概要について紹介したあと,このテーマについて標準化,医療経済,およびマネジメントの観点から論じる。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.