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精神疾患の医療は特殊なものとして他の一般診療科とは異なった法律や施策の下で取り扱われてきた。その中で精神科特例(医師は一般科の3分の1,看護師については3分の2で可)については一部是正され,特に大学附属病院および内科,外科,産婦人科,眼科および耳鼻咽喉科を有する100床以上の病院(以下,旧総合病院)の精神病床については,合併症を持つ患者に対する医療を提供する機能や,地域において単科の精神病院との連携による一体的な精神医療の提供が求められていることなども考慮されて,一般病床と同じ人員配置基準が定められた。しかし,同様な人的医療資源を投入しているにもかかわらず,一般診療科に比較して入院収入が低いため,今日に至っても旧総合病院の精神病床の減少や廃止が続いている。また,精神疾患患者の一般病床での入院治療の阻害要因として指摘されている医療法施行規則10条第3号による「精神病患者又は感染症患者をそれぞれ精神病室又は感染症病室でない病室に入院させないこと(身体合併症は臨時応急の場合に含まれるとして除外)」が挙げられる。当然,感染症は他者への感染を防ぐ目的であると考えられ,その後感染症は細分化とその対策が詳細に決められている。一方,精神疾患患者については,おそらく自傷他害の可能性や興奮などを示すような限定された患者が想定されたものと考えたいが,実際には精神疾患全般を現していると捉えられ精神疾患への偏見を助長させているように思われる。
もちろん一部の精神疾患患者の治療環境として,特殊な管理を要する精神病床での治療が必要であることは言を俟たない。しかし,それ以外の多くの精神疾患患者は,一般病床での治療が可能であり,特に精神病床の確保が困難になっている旧総合病院においては,一般病床による精神科医療を推進していくことは,1つの選択肢であるように思われる。
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