Japanese
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特集 うつ病の早期介入,予防(Ⅱ)
児童青年期におけるうつ病の早期介入の課題
Early Intervention in Children and Adolescents with Major Depression
岡田 俊
1
Takashi OKADA
1
1名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科
1Department of Child and Adolescent Psychiatry, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
キーワード:
Early intervention
,
Childhood and adolescence
,
Major depressive disorders
Keyword:
Early intervention
,
Childhood and adolescence
,
Major depressive disorders
pp.771-776
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102798
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児童青年期のうつ病の病態
うつ病の力動的理解が優勢であった頃,超自我の未発達な児童・青年には,うつ病は存在しないと考えられた。1980年代より,年齢と発達段階を考慮すれば操作的診断基準を用いて成人と同様に診断しうるうつ病が存在すると考えられるようになったが,児童青年期のうつ病の臨床症状は,成人期のうつ病といくつかの相違が認められる。
第1に,抑うつ気分よりも焦燥が前景に立ち,また,食欲低下よりも過食を伴ったり,早朝覚醒や中途覚醒よりも過眠を来したりすることが少なくない。頭痛や腹痛などの身体症状が認められたり,易怒的または反抗的な態度などの外在化症状,対人不安,不登校,家庭内暴力などの多彩な問題を伴いやすい。これらは,児童・思春期が感情や認知の発達過程にあることにより,主観的体験やその表現が,成人と異なっているためと考えることもできる(少なくともDSMでは,発達段階によるものとみなしている)。しかし,以下に示すいくつかの知見は,児童・思春期のうつ病が,成人と異なる病態を含む可能性を示している。
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